地方創生
辻󠄀村豊
合同会社播羊化学研究所 代表社員 辻󠄀村豊 https://banyohkagaku.co.jp/

Profile

1991年 京都工芸繊維大学 繊維学部高分子学科卒業
1994年 大阪大学大学院 工学研究科 修士課程修了
1997年 大阪大学大学院 工学研究科 博士課程修了 博士号取得(応用化学分野)
1997年1月~1998年2月 京都工芸繊維大学ベンチャーラボラトリー 非常勤研究員
1998年3月~1998年9月 大日本スクリーン製造株式会社 開発部員
1998年10月~2002年2月 産業技術総合研究所関西センター 科学技術特別研究員
2002年2月~2003年10月 株式会社ナード研究所 研究員
2003年11月~2016年3月 ナガセケムテックス株式会社 研究開発部
2017年3月~ 合同会社播羊化学研究所 代表社員

現在の仕事についた経緯

京都工芸繊維大学を卒業し、大阪大学大学院に進学。博士課程を修了し、応用化学分野で博士号を取得しました。その後は、京都工芸繊維大学ベンチャーラボラトリーや、産業技術総合研究所関西センターで研究員となりました。半導体製造装置メーカーや化学メーカーなどにも勤務し、開発業務に従事。産官学のいずれも経験したことが強みです。
2003年から12年間勤務した企業では、熱可塑性エポキシ樹脂の開発と製造に携わりました。加熱により硬化した後は形状が変わらないエポキシ樹脂に、熱を加えることで再び状態変化する性質も持たせることに成功し、特許取得にも尽力しました。
その後、これまで培ってきた知見を広く役立てたいと考え、2017年兵庫県相生市矢野町で起業しました。「播羊」という会社名は、自身がひつじ年生まれであること、そして、播磨地区に根差して活動していきたいという思いが込められています。もはや素材も石油系重視から天然系重視へと移行しております。自然豊かな環境で素材の研究開発を行うには絶好のロケーションと言えます。今後はバイオマスの有効利用方法など、この地だからこそ見えるテーマに取り組んで行きたいと考えております。

仕事へのこだわり

これまで偉~い先生方からは「お前がわからないのがわからない」と言われることも多くありました。しかし、そこが大切です。
「難しいことがわからない」のは当たり前であり、物事がすぐにはわからない人の側に立つことを大事にしています。難しいことに対して如何に切り込み、最大公約数を得ていくにはどうすれば良いか——その視点を常に持っています。

その一方で、技術顧問先では新製品の試作検討結果を元に宣伝用資料や報文を作成してきました。また、大学との共同企画にも積極的に参加。別の技術顧問先では、若手社員の報告書作成や基礎知識教育も担当しました。
「技術者がいなくなった」「技術の事業承継がしたい」「メンバーが文系ばかり」などの課題に対して、広く理科系・技術系の支援を全力で行っています。
何事においても、その時その時、その場その場で「最高の絵を描く」ことに全力を注ぐ。形にこだわらず、皆様に寄り添ったご支援を続けてまいります。

若者へのメッセージ

素晴らしい業績を残すことは確かに嬉しいことですが、人として立派に生きることこそが何より大切だと思います。自分の中にある芯を大切にし、周囲の人を思いやりながら歩んでいくことで、必ず道は開けます。

また、今やインターネットも発達しており、地方で活動することのハンディは大きく減っています。むしろ、都市部では当たり前となった「時間に追われる暮らし」や「混雑・渋滞」といったストレスが少なく、のびのびと自分の力を発揮できる環境があります。
交通渋滞に巻き込まれることもなく、新鮮な食材に恵まれ、きれいな空気や水の中で暮らせる——そんな環境だからこそ、発想が広がり、研究や事業に集中できるのです。

地方にはまだまだ眠っている資源や可能性が多くあります。若い皆さんには、ぜひ「地方だからこそできること」を探し、挑戦してほしい。地域とともに成長する働き方は、これからの時代にこそ求められるものだと思います。自らの可能性を信じ、地方を舞台に大きな夢を描いてください。