かかりつけ医特集
吉田文彦
青井駅前歯科クリニック 院長 吉田文彦 https://yoshida-dent-clinic.jp/

Profile

2002年、岩手医科大学歯学部卒業。
2006年、東京医科歯科大学(現 東京科学大学)顎口腔外科学分野博士課程卒業、博士号(口腔がん)取得。
同分野医局員、焼津市立総合病院医員を経て、都内複数の医療機関で研修後、2012年に開業、現職。

現在の仕事についた経緯

父親が、北海道がんセンターで内科医として勤務していました。専門は白血病です。はたから見ていても父は仕事熱心で、「患者さん思い」な印象が伝わってきましたね。そんな父の背中を見て私も医師の道を自然と志すようになっていました。
矯正治療を受けたことがきっかけで、通えば通うほど、どんどん治っていくことに感激し、方向性が歯科医師に定まったのです。そんな歯科の診療科目の中で、全身疾患に伴う口腔内の症状を診る口腔外科を選択したのは、やはり同じようにさまざまな全身疾患に診断をつけて治療していた父の影響だと思います。

仕事へのこだわり

当クリニックでは、親知らずなどの埋伏歯の抜歯、外傷歯の固定、歯の移植、再植、さらには口内炎などの粘膜疾患や口腔がん、顎関節症、睡眠時無呼吸症候群など、虫歯や歯周炎などの一般的な疾患を含めた口腔領域全般を扱う分野を診療しています。

大学院での研究テーマでもあった口腔がんについてご説明しますと、他のがんですとその有無や大きさ、場所はCTやMRIなどを撮らないと発見しにくいものですが、口腔がんはその名の通り、がんを口の中に見つけることができるので比較的早期発見しやすいのです。

ただそれでも、ターミナル・ケア、つまり終末期医療を受けなければならないほど、治療の施しようがない口腔がん患者さんも多く診てきました。それは東京医科歯科大学に在籍しながら、静岡の焼津にある焼津市立総合病院に出向していた頃でした。看取りの瞬間に立ち会ったり、救急当番の当直を数多く経験したりして、歯、口の中がいかに人生を左右してしまうか思い知らされ、こういった患者さんを早い段階で救いたいという気持ちが強くなりました。

診療のモットーとしては、患者さん本位の治療を心がけています。こちらとしては治したほうが良いと思われる歯があってもそこをグっとこらえまして(笑)、患者さんの「この歯だけ直してほしい」というご要望にまずはお応えします。

そして、治したあとに「ここは綺麗になりましたが、他はどうしますか?」と投げかけます。患者さんご自身から「治したい」という意識が芽生えない限りは、さまざまな選択肢は提示しますが、むやみに治療を進めることはありません。

また、歯のクリーニングなどは衛生士さん任せにせず、毎回必ず全顎を行ってから治療に進むように心掛けています。主治医として歯肉の状態や歯質について常に把握しておきたいからです。

若者へのメッセージ

これまでの歯科治療では、咀嚼困難を主訴に来院された患者さんの補綴物の治療を行い、咬合を改善し、口腔機能の安定を図ってきました。

これからの歯科治療では、高齢化に伴い口腔運動機能の低下や認知症などによる咀嚼機能の低下などにも対応するために、いち早くオーラルフレイルに気づき、要介護状態における口腔機能を回復可能な状態へと近づけることが期待されています。

歯科医療は、健康な人、暮らし、未来のために、ますます必要とされ、もっともっと活躍ができる分野だと思います。