リーダーインタビュー
小佐野匠
かいじ人材株式会社 代表取締役 小佐野匠 https://kaiji-jp.com/

Profile

2004年 慶應義塾大学経済学部卒業
2006年 早稲田大学大学院MBA修了、株式会社レコフ(後にヴァイスプレジデント)入社
2013年 国際興業株式会社 経営企画担当部長
2019年 かいじキャピタル株式会社設立、代表取締役就任
2023年 かいじ人材株式会社設立、代表取締役就任

現在の仕事についた経緯

2006年のMBA修了後、当時独立系大手M&A仲介・アドバイザリー会社だったレコフに入社しました。8年勤め、3年目から5年間の営業成績はトップ級でした。そして4年目に最速でヴァイスプレジデントに昇進しました。
2013年に元家業の国際興業のスポンサーだった米投資ファンド・サーベラスの招聘で、国際興業の経営企画担当部長となりました。国際興業のサーベラスEXIT後、仲の悪い親族に実権が戻り、訴訟等を経てやむなく退社となりました。
その後、2019年にM&A仲介・アドバイザリーの「かいじキャピタル株式会社」を設立し、代表取締役に就任しました。
慶應大学時代の友人がミャンマーで日本語学校を経営しており、2023年にその誘いを受けました。M&Aビジネスで多くの経営者から人手不足の悩みを聞いており、そこで築いた顧客基盤を活かせるビジネスとして、「かいじ人材株式会社」を設立し、代表取締役に就任しました。

仕事へのこだわり

学生時代に、UFJ問題からファンドの支援を受けざるを得ない状況を利用した親族の悪意によって追放されてしまった元家業の国際興業を、いつか親族とファンドから取り戻したいとの一心で、大手M&A会社のレコフに入社することから私自身のキャリアは始まりました。
これは、ファンド側との繋がりを得るのに最適な経歴と経営者として必要な能力等を獲得するのに、最善の道と考えてのことで、やるからにはトップクラスの結果を残す必要があると思い、早朝から夜遅くまで必死に頑張りました。
M&Aの仕事なので、数字に対して真摯・正確であることは勿論、法律や会計面などの知識も深め、どんな質問が来ても答えられるようにするための準備を行うなど、常に最善の努力をしてきましたし、今もしています。
時に罵声は勿論、会社四季報も飛んでくる厳しい環境で日々100件以上の営業電話をかけるという大変なスタートで、1年目は年間50万円の売上しかあげられず精神的にも辛い日々でした。しかし色々と方法を工夫するとアポイントも入るようになり、経営者の方々にお会いすると(私の出自もあってかと思いますが)興味をもって貰えることも多く、可愛がっていただけて、2億円超の手数料売上をあげた3年目からはトップ級の結果を出し続けられるようになりました。
営業面だけでなく、プロダクトサイドの勉強・実践もしっかり行い、一人でM&A案件を一気通貫で出来るスキルを会得しました。その後、狙い通り国際興業のスポンサーだった米国ファンドと繋がりを作り、そこから招聘を受け、親族に強烈な妨害をされながらも国際興業の経営企画担当部長になりました。
もっとも、資本の論理には勝てず、結局同社を出ざるを得なくなり、まずは昔取った杵柄でM&Aビジネスを一人で始めたところ、幸い案件組成からエグゼキューションまで一気通貫で出来る能力があったお蔭で、毎年複数の案件を出来るようになりました。
勉強会などにも積極的に顔を出すことで、経営者とのネットワークがどんどん広がり、それを活かして他のビジネスもしてみたいと、ちょうど大学時代の友人の誘いもあって始めたのが、かいじ人材で、現在へと至ります。
とにかくお客様に対して誠実に、常に自分のベストを尽くし、知識の幅をとにかく広く持ち、仕事を通じて信頼を築いてリピーターになっていただく、というのが私がビジネスで心がけていることです。そうでなければ、「三菱」「三井」「住友」といったような名前も付かない当社のような新興中小企業に、仕事は頼んでいただけません。
幸い、M&Aでも人材でも、この自分に課した心がけのおかげか、大手上場企業をはじめ多くの優良な企業と仕事を通じてお付き合いさせていただけており、大変幸せに思っております。

若者へのメッセージ

日本では、長年終身雇用が一般的だったものの、今日ではそれが崩壊しつつあります。そうした流れを受け、少しでも高い給料がもらえそうだったり、仕事で辛いことがあったりすると、昔と比べて退職を決意するハードルが、特に若い人達の間で大きく下がっているように感じます。
しかし、お金で決して買えないものに「信用」、要するに「社会的信用」があります。私自身、誰もが知るような大企業の看板が無くてもこうしてビジネスが出来ているのは、その信用があるからです。その信用は、築き上げるのに、長い年月とそれを裏付ける行動が必要です。「途中で投げ出さない」、「約束を守る」といったことは、信用の基礎中の基礎です。信用を築き上げるには長い年月がかかりますが、崩壊してしまうのは一瞬です。
「石の上にも三年」という言葉があります。もちろん、法的にアウトないわゆる「ブラック企業」などにいる方は、早く出る決断をするに越したことはないでしょう。しかし、多くの若い方々は、たとえ仕事で辛い、投げ出したくなるようなことがあっても、どうか一度落ち着いて、信用を築き上げていくにあたって、その行動が正しいかどうか考えてみてください。
サラリーマンを続けていく上でも勿論大切ですが、仮に独立してビジネスをしていくつもりが将来的にあるならば、それは学生時代、若手社会人時代からの信用の蓄積が、何よりもの財産になってきます。どうか信用を積み上げて、充実した人生を送ってください。