現在の仕事についた経緯
商社勤務を含む多様なビジネス経験を経た中で、「既存品の取引だけでは限界があり、オンリーワンの技術を持つことで将来の可能性を広げたい」という想いが芽生えました。この信念をもとに母校である東北大学内でベンチャー企業「XMAT」を設立しましたた。
また、サラリーマン時代には転勤や業務引継ぎが頻繁にあり、せっかく築いた人脈やビジネスがリセットされる状況に対し、先方への責任を考えると心苦しい思いを抱いていました。これらの経験を通じて、上司の方針に縛られることなく、現場の感覚を信じて自ら人脈やビジネスを築いていきたいという思いが強まったことも、もう一つの起業の理由でもあります。
仕事へのこだわり
仕事へのこだわりをあえて言うなら、「こだわりに固執しないこと」です。自分の知識や経験を過信せず、相手が求めていることに耳を傾け、そのニーズに最善の形で応える方法を考えていくことを心掛けています。また、自分が「やりたいこと」よりも「できること」を優先し、目の前の課題に向き合う中でできる限り最善な解決策を模索してきました。
現在のXMATで取り組んでいる「非破壊検査と拡張技術を融合させたインフラ点検システム」の実用化も、まさにその姿勢の延長にあります。当初、XR(クロスリアリティ)技術は私にとって専門外の分野であり、すぐに解決策が見える状況ではありませんでした。しかし、「どうすればこの課題を解決できるのか」と考えながら、多くの方々の協力を得るために人脈を築いていきました。その過程で、自分一人では解決できない部分を補ってくださる方々とともに少しずつ進めることで、ようやく形にすることができたのです。
振り返ると、自分に特別な能力や知識があったわけではなく、ただ目の前の課題に対して真摯に向き合い、地道な努力を積み重ねたことが結果に繋がったのだと感じています。また、この経験を通じて、たとえ専門外の分野であっても、学びながら取り組むことでその分野に一定の成果を上げることができたことを実感しました。
自分にできることは多くないかもしれませんが、決して自己主張や特定の方法に固執することなく、一つひとつ丁寧に解決していく姿勢が、少しずつ前に進む力になると信じています。これからもその姿勢を忘れずに、一歩ずつ前に進んでいきたいです。そして、支えてくださる方々への感謝を忘れず、仕事に取り組んでいきたいと考えています。
若者へのメッセージ
自分自身、未だ道半ばの身であり、偉そうにアドバイスを語れる立場ではありませんが、自らへの戒めを込めて述べたいと思います。
仕事や人生において、自分の思い通りに物事が進むことは稀です。大抵のことは相手があってのことであり、思い通りにならない状況を前提に取り組むことが、かえって良い結果を生むことも多いです。過剰な期待をせず、冷静に状況を見極める姿勢が、大きな失敗や失望を避ける助けになると感じています。
「失敗を恐れるな」とはよく言われますが、無駄な失敗を避けることも重要です。他者の成功談が必ずしも参考になるとは限らないですが、失敗談は多くの教訓を含みます。だからこそ、失敗を正直に語ってくれる先輩や年長者との関係を大切にしてほしいです。失敗を知り、それを正しく恐れることが、前向きに行動する基盤となると考えています。
また、もし起業を目指すなら、まずは「生き残ること」を最優先に考えてほしいです。企業が倒産しないという思い込みは過信であり、誰もが倒産のリスクを抱えています。そのリスクが現実となると、多くの人に迷惑をかけることになります。その責任を意識し、慎重に物事を進めることを忘れないでほしいと思います。