現在の仕事についた経緯
私の父が脱サラして事業を立ち上げた際、その道を勧めてくれたのが、フーゲツ創業者の安達良一氏(現・相談役)でした。父にとっては“職親”とも言える存在であり、そのご縁が私の人生にも大きく影響を与えることになります。
ある日、フーゲツで幹部が一斉に退職するという事態が起こり、当時の安達社長は父を頼ってきました。その流れで、東京でまったく別の業界で働いていた私が呼び戻され、父の会社(ニシヤマ)の新入社員としてフーゲツへ出向することになったのが、すべての始まりです。
最初は発泡スチロールの加工に携わっていましたが、すぐにフーゲツの新規事業であるパルプモールド事業の立ち上げを任され、単身で岐阜県の王子製紙の独身寮に入寮しました。それから、パルプモールド製造会社である株式会社大成にて徹底的に修行を積ませてもらい、フーゲツに戻った頃には、気づけば私自身がフーゲツの正社員となっていました。
仕事へのこだわり
私がフーゲツに入社した背景には、父の「困っている“職親”を助けたい」という利他的な思いがありました。私自身もそのご縁に深く感謝し、同じく“利他の心”を大切にしながら仕事に向き合ってきました。
段ボールはつい注文を忘れがちな商材で、出荷直前になって慌てて依頼をいただくことも珍しくありません。そんな時こそ、「できる限り早く対応したい(気持ちとしては採算度外視で)」という利他の思いが自然と湧いてきます。
しかし、思いだけでは商売は成り立ちません。単価が安く利幅が極めて小さい段ボール事業では、いかに不良を出さず、細部までこだわって管理し、徹底してムダを省くか——これが利他の姿勢を実現できる方法なのです。
100枚の生産で3枚不良が出れば利益がなくなる世界です。その中で、当社の最大の強みと言えるのが、蓄積してきた延べ20,000件を超える改善の知恵です。この「改善マインド」こそが、“利他の思い”と“商売としての成立”という、一見相反するものを両立させてきた原動力だと考えています。
そして今改めて感じるのは、発泡スチロールにしても段ボールにしても、単価が安く、単体では決して高い商品価値があるとは言い難いということです。一見すれば「なくても困らないもの」に思えます。しかし実際には、段ボールは商品を出荷する段階になると絶対に欠かすことのできない存在へと変わります。まさに縁の下の力持ちのような役割です。
だからこそ私のこだわりは、“たかが段ボール、されど段ボール”に尽きます。言い換えれば、私自身の「目立たないが、欠かすことのできない存在でありたい」という思いに通じています。
フーゲツもお客様にとってそんな存在でありたいですし、社員一人ひとりが地域の中で「いてくれてありがたい」と言われるような存在になってくれれば、社長としてこれ以上の幸せはありません。
若者へのメッセージ
人生の時間の1/3は就寝していて、1/3はプライベートな時間に使っていて、残りの1/3は仕事をしている時間です。つまり人が活動している時間の約半分は仕事に費やされている訳です。この人生の半分も費やしている、仕事をしている時間が幸せでないならば、それは人生を楽しんでいるとは言えません。
私たちが人生において幸せになるために必要な材料は、この「時間」なのです。私は、この貴重な時間をどれだけ「自分にとって意味のある時間」だと思えるかが、幸せかどうかの分岐点になると思っています。
今の仕事は自分が本音で「やりたい」と思っていることでしょうか。私たちは必要な物になら進んでお金を払います。難しい本でも役に立つと思うなら自ら購入します。時間も同じです。難しい仕事でも、自分が誰かの役に立っていると思えば喜んで時間を使います。
「なんとなく」で時間を浪費すれば、それは死んだ時間です。つまり、「時間」という材料を「幸せ」に加工できるかどうかは、自分の心持ち次第なのです。
皆さんにとって仕事をしている時間が、「限りある人生の一部を支払うだけの意味がある」と思えるように、真剣に仕事に向き合ってもらいたいと思っています。

