リーダーインタビュー
中楯恭悦
株式会社だい久製麺 代表取締役社長 中楯恭悦 https://dai9.co.jp/

仕事へのこだわり

今期、私たちは企業としての原点に立ち返り、衛生管理の取り組みを一層強化することを決意しました。食品を扱う者として最も大切にすべきは、「基本の徹底」です。そして、その基本を全従業員が共通の認識として理解し、日々の業務に真摯に向き合うことが、企業の信頼と未来を支える礎になると考えています。

この想いの根底には、創業者から受け継がれてきた言葉があります。
「商売は、売ってもらってありがとう。買ってもらってありがとう。」

この一言には、私たちの仕事に対する姿勢と、商売の本質が込められています。
お客様に商品を購入いただけることはもちろんのこと、私たちが仕入れを行う立場であっても、取引先に対して感謝の心を忘れてはならない。商売は自社だけで完結するものではなく、多くの取引先や関係者とのつながりの中で成り立っている——その当たり前を忘れず、常に謙虚であることの大切さを教えてくれる言葉です。

その精神を行動に落とし込むためにも、今期は「我慢の年」として位置づけ、すぐに成果を求めず、基本に忠実な業務の再構築に力を注いでいきます。全従業員が食品づくりに必要な基礎知識を正しく理解し、どの工程においても自信を持って対応できる体制を整えることが目標です。

また、現場力の底上げを目指して、業務改善や衛生教育の見直しにも取り組んでいます。作業手順の明確化やチェック体制の強化、定期的な研修や現場での意見交換などを通じて、「気づき」と「改善」を促す風土づくりを進めています。

このような取り組みを成功させるためには、全員が「同じ志」を持つことが不可欠です。立場や役職に関係なく、全従業員が共通の目的に向かって日々の仕事に取り組むことで、組織全体の力が引き出されます。

創業者の精神に立ち返り、日々の業務に「ありがとう」の気持ちを込めながら、誠実に、謙虚に、そして丁寧に。これこそが、私たちの「仕事へのこだわり」であり、今後も揺るがぬ信念として受け継いでいきたいと考えています。

若者へのメッセージ

物価高、少子高齢化、人口減少——これからの日本は明るいとは言いづらい状況かもしれません。しかし、だからこそ「今こそ挑戦のとき」だと私は思います。

弊社は東北で食品製造業を営んでいますが、地域内のシェアはまだ5%にも満たず、伸びしろは大きいと感じています。食品という分野は時代が変わっても無くなることはありません。ニーズに合った商品を生み出せば、必ず道は開けます。消費者から「美味しい」と言ってもらえることは、何にも代えがたい喜びであり、最高の商売です。

私は特別な人間ではありません。社員と同じ目線で仕事をしています。ただ一つ、他の食品製造会社には絶対負けたくないという強い気持ちだけは持ち続けています。成功とは、取引先の繁栄と社員の生活向上を実現することです。それを目指し、これからも歩み続けていきます。

若い皆さん、社会は厳しいです。けれど、チャンスはまだまだあります。時代を悲観するのではなく、その中で何ができるかを考え、挑戦を続けてほしいと願っています。