現在の仕事についた経緯
会社員時代、外国人留学生の友人たちから頼まれて、ボランティアとして就職・転職支援を行っていました。私は採用リクルーターとして面接官の経験があったため、通過しやすいエントリーシートの書き方や面接の答え方がある程度わかっていました。
その経験を活かしてサポートしたところ、それまで就活に苦戦していた留学生たちが次々に内定をもらい始めました。それが口コミで評判となって依頼が増え、全てに無償で対応することが難しくなったため、外国人留学生向けの就職サポートとして事業化して独立しました。
その後、外国人材専門の人材紹介業、慶應義塾大学大学院の就職支援担当など、関連領域で事業範囲を広げて現在に至ります。
仕事へのこだわり
会社員時代から現在まで、顧客に対して誠実に対応することを心掛けています。具体的には、「頂戴したご料金以上の価値提供を目指すこと」「まずはgiveすること」を意識しています。
例えば、一般的な人材紹介会社では、紹介した人材が入社したら成功報酬として紹介料をいただき、それで終わりです。しかし、弊社が取り扱う外国人材の場合、日本語能力や文化の違いを原因としたコミュニケーションエラーが入社後に発生する場合があります。
また、入職者本人が問題を抱えていても、上手く相談できないケースもあります。そのため、各国言語対応可能な弊社スタッフが定期的にクライアント企業様を訪問し、ご様子を伺い、母国語でのカウンセリングを行うことで、問題の早期発見とコミュニケーションの仲介に努めています。この対応に対してはサポート費用をいただいておらず、弊社が自発的に無償で行なっています。
また、留学生向け就職サポートの事業では、すでに卒業した過去の生徒さんからキャリアに関するご相談をいただけば回答しますし、必要に応じてウェブ面談をしたりもします。
これらの結果、弊社サービスに対して顧客からは高い満足度をいただけており、弊社売上の半分以上は紹介やリピートから生まれています。
「お人よし過ぎる」「お金にならないことにコストをかけて効率が悪い」と言われることもありますが、一般的に新規顧客の獲得コストは既存客の5倍と言われています。そのため、結果的に営業コスト、広告コストを下げることに繋がっていると思います。すぐには収益につながらなくても、誠実に対応して信頼を積み上げることが会社の資産になると信じています。
若者へのメッセージ
若い方からキャリア相談を受ける際、「安定した大手企業に就職したい」という声をよくいただきます。しかし、真の安定とは「その気になればいつでも独立できる状態」だと私は思います。
終身雇用が崩壊しつつあり、一度の不祥事で経営基盤が揺らぐこともある現代では、大企業に勤めることが安定ではありません。仮に会社自体は安定していて雇用が維持されたとしても、いわゆる「上司ガチャ」「配属ガチャ」により、将来的に不遇な環境で我慢して働き続けなければならない可能性もあります。
いざ会社を辞めたい、辞めざるを得ない状態になった時に、大手企業の細分化された業務、会社のブランド力で仕事をすることに慣れてしまうと、独立して1人で生きていく力、転職で求められる汎用的なポータブルスキルが身につきにくいと思います。逆に小規模な会社で働いた方が、経営に近いところで仕事ができ、自分でビジネスを生み出す力が身につきやすいと思います。
ポジショントーク、やりがい搾取にならないように注意しなければなりませんが、私は複数の大手企業勤務とスタートアップ経営の両方を経験した身として本当にそう思っています。