現在の仕事についた経緯
私は町工場の長男として生まれ、幼少期から家業の苦労を目の当たりにして育ちました。父は全力で働き、母の収入までも資金繰りに回すほど、家族全体が家業に人生を懸けていたのです。
そんな家業が、ある日突然倒産しました。父の会社が倒産した夜、24時間365日働き詰めで、話す機会など全くなかった父と、初めて、深く語り合いました。
──我が家は報われなかったが、他の家業には報われてほしい。他の家業は経営者と家族、社員とその家族が幸せにするものであってほしい。そうなれるようにオーナー社長とオーナー経営を支えたい…。
我が家の家業を支えていただいた社員とその家族の方々、お取引先の方々に向けて、そう誓ったことが、私が経営コンサルタントを志す原点となりました。
仕事へのこだわり
家業倒産の夜、私は父と深く語り合いました。「評論家のようなコンサルタントになるな」「経営実務に精通した実務家であれ」それが、父の最後の経営者としての言葉でした。そのため、私はまず経営の実務を知ることから始めました。30社以上の企業で代表や役員を務め、財務・人事・営業・現場オペレーションまで徹底的に経験を積みました。
現在、経営コンサルタントとして企業支援に携わっていますが、一貫してこだわっているのは、「もし自分が代表でも実行できると確信できる提案しかしない」ということです。
現場で実行できない正論や、評論家的なアドバイスに価値はないと考えています。経営は、理屈だけで動くものではなく、そこにいる人間の感情・制約・リアルな状況を理解してこそ成り立つものです。
そのため私は中国の陽明学の創始者王陽明が言う「知行合一」「事上磨錬」の姿勢を何より重んじています。新たな知見をいかに現場に落とし込むか、現実の中からどのように学びを引き出し、再び提案へと昇華させるか——その往復運動を自問し続けています。
私の提案は、実戦で鍛え抜いた“血の通った提案”であることが最低条件です。評論ではなく、経営の修羅場をくぐってきた者としての覚悟と責任。それが、私のコンサルティングの信念であり、こだわりです。
若者へのメッセージ
日本経済の約7割の雇用、そしてGDPの半分は中小企業によって支えられています。今後、就業人口の減少により、全国の中小企業では「右腕不在」が深刻な課題となっていくでしょう。これからの時代、必要とされるのは、経営実務に通じた“現場目線のコンサルタント”です。
近年、一流大学を卒業後すぐに大手コンサルファームに就職し、そこから起業する若手も増えました。しかし実際には、彼らの多くが実務経験に乏しく、中小企業の現実を知らないのでは…と感じる場面も少なくありません。
日本経済の基盤は、まさに中小企業です。そして、その中小企業こそが今後“右腕”としてのコンサルタントを最も必要とする存在になります。
だからこそ、これからコンサルタントを志す若者には、知識だけを身につけるのではなく、まず現場から学び、「事上磨錬」に基づく「知行合一」の姿勢を大切にしていただきたい。そうした人材こそが、これからの日本経済を支えることになると私は信じています。

