リーダーインタビュー
石田雄大
株式会社フクシア 代表取締役 石田雄大 https://hukusia.com/

Profile

関西の大学を中退後、東京に上京しITエンジニアとなる。その後、20歳の時にベトナムにてIT会社を設立し、オフショア開発を行う。
2019年に日本に帰国後、広告マーケティング会社を設立し、D2C事業や広告代理店事業を展開。
2022年7月に「児童発達支援・放課後等デイサービス はばたきグループ」を設立し、1年半で6教室を展開。2025年9月現在は8教室を千葉市にて展開中。

現在の仕事についた経緯

幼い頃から、私の生活は“人を支える”という文化に包まれていました。父は僧侶、母は長年福祉の現場に立ち続ける人でした。さらに従兄弟には障害を抱える子がいて、家庭の中に「支援を必要とする現実」が常にありました。
そんな環境で育った私は自然と“社会の課題”を意識するようになりました。
22歳で広告・マーケティングの会社を立ち上げ、仕組みづくりや成長戦略を学びましたが、福祉施設を支援する中で「現場が事務に追われ、子どもと向き合う時間が奪われている」という構造的課題を知りました。
その瞬間、これまで培ったノウハウを活かすべき場所はここだと直感しました。そして2022年に「児童発達支援・放課後等デイサービス はばたきグループ」を開設し、福祉の道へ踏み出しました。

仕事へのこだわり

私は仕事をする上で「“好奇心”が“できる喜び”に」という言葉を大切にしています。
周囲の価値観や常識に縛られてやりたい気持ちを押し殺してしまう。そんな人たちが自分の好奇心に素直になって一歩を踏み出し、挑戦の楽しさを実感できる社会をつくり、障害のある子どもと保護者が安心して社会参画できる未来をめざしています。

根底にあるのは「社会課題は仕組みで解決できる」という信念です。
マーケティング事業をしていた頃、人の勘や感覚に頼らず、再現可能な仕組みに落とし込むことで成長を実現してきました。
しかし、仕組み化はあくまで「子どもたちや職員の笑顔」を引き出すため、個々の強みを最大化する舞台装置であるべきだと考えています。

現場で働くスタッフ一人ひとりには、それぞれ異なる強みや得意分野があります。私はその力を活かすためにこそ仕組みを使いたいと考えました。
例えば、送迎・請求・勤怠などの事務はすべて本部で集中処理し、現場の先生たちが子どもと向き合う時間を確保しています。
また、療育プログラムやマニュアル、OJT、評価基準は社内WIKIで可視化しながら、そこに“人間らしさ”を残すことで、誰もが安心して自分の専門性を発揮できるようにしています。

私が目指すのは「強い個人」に依存する組織ではなく、「強いチーム」が支援を続けられる仕組みです。
仕組みを整えることで、スタッフが自分の得意分野に集中でき、『個性を最大限に輝かせられる』ことが、子どもたちの成長と保護者の安心につながると信じています。

療育プログラムづくりも、地域の声から始まります。
言語支援が不足する千葉市の状況を徹底的に分析し、地域の保護者や行政との対話を重ねながら教室を設計しました。
数字やデータの裏側にある“人の想い”を大切にしながら仕組みをつくる。
これこそが、私が新人時代から一貫してきたスタイルであり、仕事へのこだわりです。

若者へのメッセージ

若い皆さんに伝えたいのは、「自分の好奇心に素直になってほしい」ということです。
私自身もそうでしたが、人はつい周囲の価値観や常識に縛られ、やりたいことを押し殺してしまいがちです。「笑われるのではないか」「失敗したらどうしよう」と考えると、挑戦する前に諦めてしまうこともあるでしょう。しかし本当は、心の奥に芽生える“やってみたい”という気持ちこそが、人生を切り拓く原動力なのです。

もちろん挑戦には失敗もつきものです。私もマーケティング事業を始めた頃、数えきれない試行錯誤を経験しました。しかし、その失敗から得られる学びは必ず次につながります。失敗を恐れず動いた人にしか、新しい景色は見えません。

大切なのは、一人で全てを抱え込まず「仕組み」や「仲間」に支えられながら、自分の得意を発揮していくことです。完璧である必要はありません。自分の強みを少しずつ形にしていけば、必ず誰かの役に立ち、社会の力になります。

どうか自分の好奇心を信じて、一歩を踏み出してください。その挑戦がやがて「できる喜び」となり、未来を切り拓く大きな力になるはずです。