現在の仕事についた経緯
2022年、経営支援NPOクラブで支援を担当していた福祉機器会社の代表より、高齢を理由とした事業承継のご相談をいただきました。市場調査を行った結果、ニッチではあるものの将来性の高い市場であると判断し、同年9月にOCTUG株式会社を設立しました。
その後、起立補助装置「Assist TUG」の開発および事業化を進め、この3年間にわたる営業活動を通じて、起立補助分野が大きなブルーオーシャン市場であることを認識しました。そこで、「Assist TUG」の名称およびアイコンを商標登録するとともに、介護保険レンタルが可能となるTAISコードを取得しました。
仕事へのこだわり
テルモの新人時代、担当商品の商品知識については、同期と比べても十分に勉強しておらず、正直なところ劣っていたと考えています。しかし一方で、新規顧客の獲得においては、新人時代から常に全国No.1を競う成績を上げていました。
なぜ結果を出せたのかを振り返ると、これはと思うユーザーに対して商品を一方的にPRするのではなく、「個人としての自分」を売り込み、人間関係を構築していたことが大きかったのではないかと感じています。
当時のテルモは、ガラス製注射器からディスポーザブルシリンジ、輸液瓶からソフトバッグ、水銀体温計から電子体温計へと、現在では当たり前となった医療機器の“システムチェンジ”に注力していました。赤十字病院や大学病院においてシリンジを全面的に取り替える作業や、体温計の切り替えは非常に困難を伴うものでしたが、その分、達成感も大きなものでした。
この活動において最も重要だったのは、「最大限、個人を売ること」だったと考えています。看護部長をはじめ女性の方々と接する機会が多かったこともあり、常に身だしなみに気を配り、ラーメンなどニンニクの強い食事は控えるなど、細かな点にも注意を払っていました。また、購買部門の担当者とは、いわゆる“入魂の関係”を築いてきたと自負しています。
札幌時代には、全国で最も大きな予算と人数を擁する部隊を任せていただきました。そこで私が心がけたのは、率先垂範で引っ張ることではなく、自身の商品知識の弱さを自覚したうえで、部隊の担当者が働きやすい環境を整えることでした。
当時は昭和的なマネジメントが色濃く残り、上意下達が当たり前の中で萎縮していた担当者も多くいましたが、そうしたメンバーが“小さな成功体験と達成感を積み重ねられること”を意識しました。名古屋時代も、言葉は適切ではないかもしれませんが「豚もおだてりゃ木に登る」を実践し、結果として全国トップクラスの部隊へと育てることができました。
本社勤務時代には、歯科事業において社内ベンチャーの立ち上げに携わり、約10年間にわたり経営陣と向き合いながら、一匹狼的に事業を推進してきました。常にポジションや状況に応じて臨機応変に判断し、出たとこ勝負で道を切り拓いてきました。
若者へのメッセージ
私は「人生100年、いつでも夢を」という言葉をモットーとしています。そして、若者の皆さんにも、“魅力のある、大きな人間”になっていただきたいと願っています。
常に明るく元気で、チャレンジングであること、そして人たらし的な気質も必要だと思っています。蟻のようにただ群れて生きるだけでは面白くありません。蟻は徒党を組まなければ生きていけませんが、一匹狼は自ら考え、行動します。ノーアタックであれば、ノーチャンスです。
これからの時代はAIやロボットの時代になるでしょう。しかし、起立補助のマーケットにおいては、必ずしもハイテクである必要はなく、ローテクの技術で十分に対応できることを証明していくことが、私の夢です。
現在、日本には要介護者が約723万人おり、車椅子の年間販売台数は約49万台にのぼります。しかし、その中で起立補助装置を使用している人は、わずか数百人に過ぎません。この市場に大きな夢を描き、挑戦できていることを、私は非常に楽しく感じています。
最近は特に若い人との出会いが多く、ドローンに触れたり、酒を酌み交わしたりしながら、日々英気を養っています。もうすぐ72歳を迎えますが、夢に向かって、いつまでも挑戦し続けていきたいと考えています。

