現在の仕事についた経緯
幼少期は体が弱く、クリニックを受診すると安心できたことから、自然と医師を志しました。
地域のホームドクターを目指し、早くから診療経験を重ねてきましたが、30歳頃に記憶力の低下を感じ、学び直しを決意。恩師とのご縁から東海大学大学院に進学し、医学教育に携わる教員となりました。
本来は55歳で退職する予定でしたが、新たなご縁をいただき、東京農業大学で栄養学教育に挑戦することになりました。現在も土曜日には医師として現場に立ち続けています。
振り返れば、節目ごとに道が変わることもありましたが、その度に新しい出会いと学びがありました。キャリアは計画通りに進まなくても、柔軟に一歩を踏み出す勇気が、新たな可能性を切り開くと実感しています。
仕事へのこだわり
高校時代より、先達に「どのようにしたらあなたのようになれるのか」と尋ねてきました。その中で「健康であること」「運が良かったこと」といった言葉をよく耳にしました。医学部時代には、尊敬する2人の先生から、「信頼を得るためには、一番長く病院にいること」と教えられ、その教えを守り、どのような疾患でも診られるよう、時間を惜しまず症例に向き合ってきました。
研修先では、複数の診療科に跨り優れた指導医がおられたため、常に彼らのそばにいて、技術や姿勢を学び続けました。現在でも、わからないことは当日中に解決したくなり、日々2~3時間の勉強を欠かしません。医師になって以来、35年間一度も休んだことがないのも、私の探究心と責任感からです。
教育職に就いてからは、学生一人ひとりの多様なニーズに応える教育を目指し、単なる知識の伝達にとどまらず、全人的な成長を促すよう努めています。医師としては、自分が子どもの頃に感じたような、心から安心できる医療を提供できるよう、知識・技術の研鑽を怠らず、真摯に仕事と向き合っています。
そして何より、自分一人の力には限りがあることを常に意識しています。先輩や同僚、患者さん、学生など、多くの人との出会いや多くの人からの支えがあってこそ、今の自分があります。また、医療や教育に限らず、いかなる分野にも興味を持ち、常に新しいことを学び続ける姿勢を大切にしています。
新しい挑戦は時に不安を伴いますが、その一歩が視野を広げ、思いもよらない成長につながると信じています。探究心と感謝の気持ちを持ち続け、人との信頼を築きながら歩むことこそ、長く充実したキャリアを育む礎になると確信しています。
若者へのメッセージ
私はいまだに修行中の身だと感じており、若い方々に大きなことを語る立場ではありません。ただ、自分が何をしたいのかを見つけたら、迷わずその目標に向かってがむしゃらに突き進んでほしいと思います。
価値観は人それぞれで、何が正しいかは一概には言えませんが、私自身は医師として、そして教員として、社会に生かされている一人として、少しでも貢献できればと努力を重ね、現在を幸せに生きています。人には取り繕えても、自分自身には嘘をつけません。苦労をした分だけ人は成長し、その経験が人間としての厚みをつくります。若い時の努力は将来必ず自分を助ける力となります。楽を求めず、地道な積み重ねを大切にしてください。
そして、どんな時も人への感謝を忘れないこと。肩書やお金を追い求めるだけでは得られない、感謝される喜びや社会貢献しているという実感こそが、心からの幸せをもたらすと私は信じています。自分に正直に、誠実に生きることが、きっと納得のいく人生につながるはずです。皆さんが自らの道を見つけ、幸せな人生を歩まれることを心から願っています。