リーダーインタビュー
福島駿太
リーガルアクセス株式会社 代表取締役CEO 福島駿太 https://legalaccess.co.jp/

Profile

2013年、中央大学法学部を卒業。2014年に弁護士登録(第一東京弁護士会)。都内法律事務所にて一般民事法務、企業法務(M&A、ファイナンス)に従事した後、アンダーソン・毛利・友常法律事務所に入所。
2023年、コーネル大学ロースクールにて法学修士号を取得。同年、Walkers法律事務所(香港)での研修を経て、アンダーソン・毛利・友常法律事務所に復帰。
2025年、リーガルアクセス株式会社を創業し、代表取締役に就任。相生綜合法律事務所代表を兼任。

現在の仕事についた経緯

高校時代、弁護士が多重債務者の命を救った新聞記事に感銘を受け、「社会に法を届けなければ」と思い弁護士を志しました。しかし実際に弁護士になると、法的トラブルに遭う人の2割しかアクセスできない「2割司法問題」に直面し、“目の前の個人を救うだけでは社会を変えられない”という現実を知りました。

個人の努力には限界があると感じていた中で生成AIの発展に触れ、「AIを使いこなせば、より多くの人を救える」と直感しました。テクノロジーで司法アクセスの構造自体を変革するため、リーガルアクセス株式会社の創業を決意しました。

仕事へのこだわり

私の仕事におけるこだわりは、「個人の尽力」から「仕組みによる課題解決」へと視点を転換し、司法アクセスの最大化を実現することです。この信念は、弁護士として直面した「2割司法問題」という根深い社会課題から生まれました。

弁護士の数をすぐに5倍にすることは現実的ではありません。しかし、テクノロジー、特に生成AIを活用して弁護士一人ひとりの業務効率を5倍に高めることができれば、理論上はこれまで救えなかった多くの人々にも手を差し伸べることが可能になります。これは単なる効率化ではなく、司法サービスの供給能力を飛躍的に高め、社会正義の実現範囲を広げるための挑戦です。

新人時代は目の前の一人の依頼者のために全力を尽くすことが全てでした。しかし、企業法務、特に四大法律事務所での経験を通じて、より大きな枠組みで物事を捉え、仕組みをデザインすることの重要性を学びました。現在のこだわりは、この両方の経験を統合したものです。

その実現のため、リーガルアクセスでは「弁護士」「エンジニア」「パラリーガル」が三位一体で協働する体制を構築しています。弁護士が持つ法的知見と倫理観を核に、エンジニアが最新技術で業務プロセスを再構築し、高度な訓練を受けたパラリーガルが実務を支える——この連携によって、弁護士は人間でなければできない本質的な価値提供に集中できます。

これは、弁護士の働き方改革であると同時に、依頼者にとっては「より早く、より適正な価格で、質の高いリーガルサービスを受けられる」という直接的なメリットにつながります。私たちのスタイルは、テクノロジーを単なるツールとして使うのではなく、社会課題を解決するための仕組みとして法務の世界に実装し、弁護士の社会的価値と依頼者の救済数の両方を最大化していくことです。

若者へのメッセージ

法曹界やリーガルテック分野に関心を持つ皆さんへ。
皆さんには、既存の枠組みを疑い、課題解決の新しい「型」を創り出してほしいと願っています。

かつて弁護士の価値は知識や労働時間にありましたが、生成AIの登場で常識は大きく変わりました。テクノロジーは、これまで一人の専門家では届かなかった範囲にまで価値を届ける可能性を秘めています。
この変化の時代は、新しい挑戦者にとって大きなチャンスです。「2割司法問題」のような、これまで解決が難しいとされてきた社会課題も、テクノロジーと新しいアイデアを組み合わせれば突破口を開けるかもしれません。

法曹を目指す方は社会課題を解決する視点を、技術者はその実装で人々を助ける視点を持つことが大事だと思います。両者の知見が交わる点にこそ、未来の価値が生まれると思うのです。
失敗を恐れず、社会の不条理に情熱を持って挑戦することが大事です。それが社会を前に進める力になると考えています。