リーダーインタビュー
木村大樹
ホクシンハウス株式会社 代表取締役社長 木村大樹 https://www.hokushinhouse.com/

Profile

信州大学大学院工学系研究科(建築専攻)修了。2001年にホクシンハウスへ入社。現場監督を経て、住宅工法の測定・解析、技術開発に従事。独自の「FB-6工法(6面輻射冷暖房の全館空調)」の開発・特許を取得。2024年に代表取締役社長に就任。現在は「30年後も誇れる家づくり」を掲げ、品質と顧客満足を軸に、技術と経営の両面から事業を推進している。

現在の仕事についた経緯

大学時代、企業研究の一環でホクシンハウスから温熱環境の測定依頼を受け、私が担当しました。さまざまな住宅会社の、実際に住まわれているお宅を訪問し測定を行う中で、住まい手の方の表情や言葉に触れる機会がありました。

そのとき、「住宅は引き渡しで終わりではない」ということを強く実感しました。暮らしが始まってから、満足や安心が少しずつ積み重なっていく。その価値を直接見られる仕事なのだと感じたことが、私の原点です。

だからこそ私は、「お客さまに本当に喜んでいただける仕事」がしたいと考え、住宅業界を選びました。中でも、安心・快適な暮らしを根底から支える研究開発・技術開発の分野に強く惹かれ、今もその想いを大切にしています。

仕事へのこだわり

私が新人時代から一貫して大切にしてきたのは、「建てたときの性能」だけでなく、その性能が長く続く家であることです。家は完成した瞬間がゴールではなく、そこから何十年も暮らしが続いていくものです。だからこそ、引き渡し時だけ良く見える家ではなく、10年後、20年後、30年後にも「この家でよかった」と思っていただける家づくりを追求してきました。

住宅は、多くのお客さまにとって人生の大きな買い物です。ローン返済の途中で想定外の修繕費が重なったり、後から余計な費用がかかったりする家づくりであってはならない。その思いから、素材選びや施工品質に徹底してこだわってきました。特に完成後には見えなくなる部分ほど丁寧に施工することを、現場監督時代から大切にしてきました。

技術開発に携わるようになってからも、この考え方は変わっていません。新しい技術は、導入すること自体が目的ではなく、長く安心して使えるか、住む人の快適さにつながるか、将来の負担を減らせるかを確認してはじめて価値があると考えています。そのために測定・検証を重ね、技術を磨いてきました。

また、常に持っている判断軸は、「自分の大切な人に心から勧められるか」という視点です。性能や仕様だけでなく、住んだ後の安心や維持費まで含めて、自信を持って勧められるかどうか。そこへの誠実さが、品質へのこだわりにつながっていると感じています。
社長就任時に掲げた「30年後も続くありがとうのために」というメッセージも、こうした価値観を言葉にしたものです。家づくりの本当の評価は、引き渡しの日ではなく、その後の暮らしの中で決まる。だからこそ、これからも品質・技術・経営のすべてに一貫した姿勢で向き合っていきたいと考えています。

若者へのメッセージ

AIによる効率化が進んでも、最後まで残るのは、「考える力」だと思います。仕事も日常も、ひとりで完結することはありません。相手がどんな人で、何を望んでいるのかを考え、そのうえで自分に何ができるのかを考える。そこに本質があるのだと思います。

そのために大切なのは、一次情報に触れることです。自分の目で見て、耳で聞いて、体験し、必要であれば測ってみる。体を動かして得た実感こそが、人としての幅と深さをつくります。

そして、まずはとりあえずやってみることが大事です。やりながら考えることで、初めて見えるものがあります。動かなければ、発想は頭の中の知識の範囲を超えにくいからです。私自身、研究開発を続ける中で、うまくいくことより失敗のほうが多く、心が折れそうになったことも何度もありました。新しい挑戦が怖くなった時期もあります。それでも、動かなければ何も変わらない。動くことで課題が見え、改善の糸口が見つかり、前に進めることを学びました。

簡単に得られる知識だけでは差別化しにくい時代だからこそ、自分で動いて得た経験を大切にしてほしい。その積み重ねが、あなたにしか出せない価値につながっていきます。