リーダーインタビュー
小松廣之
首都圏都市開発株式会社 代表取締役 小松廣之 https://www.shutoken-tk.co.jp/

Profile

1971年、東京生まれ。不動産業界歴21年以上。
大手不動産業者の借地・底地専門部署にて、800件以上にのぼる取引実績を重ね、豊富な実務経験を積む。その後、不動産コンサル会社にて役員を務め、2021年に首都圏都市開発を創業。
モットーは、お客様の目線に合わせた「対話」をすること。これまでの相談数は5,200件以上におよぶ。
保有資格:宅地建物取引士(国家資格)、賃貸不動産経営管理士(国家資格)、終活カウンセラー、相続診断士。

現在の仕事についた経緯

20代前半は、家業の製罐業(スキー場のリフト橋脚や精製工場のプラント設備などを製作する会社)を継ぎ、現場に身を置いていました。当時、日本はバブル景気に沸いており、不動産業に従事する知人と会う機会が増える中で、その成長性やビジネスとしてのダイナミズムに強い魅力を感じるようになりました。
「自分も不動産業界で勝負したい」という思いが次第に強まり、親の反対もありながら中途で横浜の年商20億円規模の不動産会社へ入社しました。営業を通じて、単なる売買仲介だけでは顧客の価値を最大化できず、資産戦略や相続、事業性まで踏み込んだ幅広い視点が不可欠であることを痛感しました。
その後、より高い水準での経験を積むため、年商100億円規模で丸の内を拠点とする総合不動産会社へ転職。借地権・底地・小規模開発といったニッチな領域を専門に、個人投資家や法人向けの個別売却に携わり、専門性を磨きました。
こうした経験を基に、2021年に現在の会社を創業。現在は、案件の提案から調整、着地までを一貫して担っています。

仕事へのこだわり

私が扱ってきた借地権・底地・小規模開発といった領域は、不動産の中でもやや特殊で、法律や相続、歴史的な背景が関係してくることが多い分野です。そのため、単に売買を成立させるのではなく、それぞれの事情や長く続いてきた関係に寄り添いながら進める必要があります。
特に地権者や借地人の方々にとって不動産は、生活に関係する現実的な問題であると同時に、家族との思い出や地域の歴史が詰まった存在です。そうした背景を“抜け落ちさせないこと”が、この仕事ではとても大切だと感じています。
不動産は土地や建物の取引ではありますが、実際には暮らしや人生に触れる仕事です。だからこそ私は、専門性と同じくらい、対話と理解を大切にしながら案件と向き合ってきました。
新人時代から一貫して大切にしてきたのは「お客様に喜んでいただける仕事をすること」です。複雑な案件ほど、専門知識よりも、相手の話を丁寧に聞くことや、感情の整理のお手伝いが重要になる場面があります。この考え方が後に創業を決意する理由にもつながりました。それは、ニッチな領域の案件が適切に扱われず、関係者同士のわだかまりだけが残るケースを多く見てきたからです。
創業後の特に印象深い案件として、渋谷区で地権者と借地人の関係が地代をめぐって悪化し、膠着状態に陥っていた例があります。私は双方の事情を丁寧に伺い、将来の姿を一緒に考えながら話し合いを進めました。その結果、借地の一部返却と底地部分の譲渡という形で整理し、地権者・借地人・当社の三方にとって納得できる着地となりました。険悪だった関係が少しずつほどけていく姿を間近に見られたことは、今も忘れられません。
不動産は人や暮らしの背景を抱えた仕事です。私はその接点を、関係者が穏やかに次へ進めるための場所にしていきたいと考えています。

若者へのメッセージ

私自身、社会に出たばかりの頃は、自分は何が向いているのか分からず、不安や焦りを抱えながら仕事を続けていました。けれども振り返ると、進路を決めたきっかけというのは特別な瞬間よりも、小さな出会いや気付きの積み重ねによってできていたのだと感じます。
働く上で大切なのは、最初から正解の場所に立つことではなく、自分が見たものを自分のやり方で受け止めていく姿勢だと考えています。失敗や遠回りも、次の選択を形作る材料になります。
また、仕事は単に成果を求められる場ではありますが、同じくらい「人との関係」を通じて育まれるものです。先輩や同僚、お客様との関わりの中で、自分の考え方も働き方も少しずつ確かになっていきます。
若い時期は結果よりも経験の幅が大切です。焦らず、自分のペースで選んだ道を積み重ねてください。最初は小さな一歩でも、それが長い時間の中で大きな形になると信じています。