リーダーインタビュー
三村晋作
筑豊通運株式会社 代表取締役 三村晋作 https://www.chikutsu.co.jp/

Profile

1981年福岡県飯塚市生まれ。九州大学卒業。公認会計士としてEY新日本有限責任監査法人に勤務後、家業を継ぐため2017年7月に地元飯塚に戻る。2023年7月、筑豊通運代表取締役に就任。
資格/公認会計士、日本アクチュアリー会研究会員(数学・損保数理・生保数理合格)、その他
座右の銘/「学びて思はざれば則ち罔し、思ひて学ばざれば則ち殆ふし」「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」

現在の仕事についた経緯

公認会計士としてEY新日本有限責任監査法人に勤務後、家業を継ぐため2017年7月に地元飯塚に戻りました。当時代表であった父が病気を患ったことが家業を継いだきっかけです。
帰参要請は2016年頃から受けていたのですが、引き継ぎ等の関係もあり、結局2017年に前職を辞して、家業の会社に入りました。
会社を継ぐにあたって、当然迷いはありました。元々家業を引き継ぐかどうかは50%程度で考えており、「有能な人物が会社を引き継ぎ、会社が持続的に成長していけるようであれば、私の出る幕はないかな」とも思っていましたが、結果として会社を持続的な成長に導けるような人物が他にいなかったため、地元に戻ることを決意しました。

仕事へのこだわり

「現場で頑張っている人に優しい経営」がモットーです。頑張る、頑張らないは個人の自由ですが、頑張っている人や意欲・能力がある人が、そうでない人よりも報われるのは当然のことです。
重要なことは、経営者の主観や好き嫌いではなく、可能な限り客観的かつ公平な評価をすることです。また、人には向き不向きがあります。決して強制はせず、本人の意向を最大限尊重して、適材適所な人材配置を心掛けています。

具体的には、まず多くの地方中小零細自営業に共通する「親族による情実人事」や「年功序列」にメスを入れました。入社当初は、親族が幹部職を占め、業績や現場との接点とは無関係な高額報酬が支払われている状態でした。社員の士気も低く、特にベテランドライバーの慢性的な離職が課題でした。私は、親族優遇制度を完全に廃止し、以降の人事では、出身・学歴・勤続年数に関係なく「現場で結果を出す人」が正当に評価される体制へと刷新しました。

また、かつての弊社は、紙伝票、FAX、現金払いなど、「昭和型業務フロー」に依存していました。それを是正するため、まず事務作業からIT・クラウドを導入し、ドライバー業務についても、ドライブレコーダーやデジタコを活用し、業務の可視化・自動化を進めました。
併せて就業規則も抜本改定し、旧来の慣習だった「女性社員によるお茶出し」も廃止し、職務の分担を合理化しました。法令順守と働きやすさを両立した、現代的な職場環境の再設計を進め、これにより物流業界の2024年問題への先行対応も可能になりました。

改革の成果は、数字として表れ、かつては慢性的な営業赤字体質だった弊社は、就任初年度から営業黒字転換を果たし、その後も営業黒字を維持しています。さらに、ベテランドライバーの離職ゼロも達成することができました。

若者へのメッセージ

お伝えしたいことは2つあります。
まず、勉強でもスポーツでも芸術でも自分の好きなことを続けてください。“好きなこと”こそが“自分に向いていること”です。「そこまで熱中できるものがない」という人は、少なくとも「やっていて嫌ではないかな」と思えることを探してみてください。生産性のある領域のものであることが望ましいです。勉強、スポーツ、芸術はいずれも生産性のあるものです。
そうは言っても、「好きなことは、ゲーム、動画、SNSくらいしかない」という人も多いと思います。将来これらで生計を立てていこうと決意しているのであれば良いですが、そうではなく、ただ享楽として利用しているだけという人は、時間の浪費ですので、これらに費やす時間を減らすよう意識した方が良いでしょう。好きなことが直接的に仕事に繋がらなくても、間接的に役立つ可能性は大いにありますし、趣味があることで精神的充足性が得られ、仕事の活力になります。

次に、手に職をつけることをお勧めします。製造・建設・物流などインフラ業界の現場では、人口減少と少子高齢化に伴う人手不足が深刻化している一方、ホワイトカラー職はAIやDXによって省人化が進んでいます。遠くない将来、ホワイトカラーからブルーカラーへの労働力の移動が起こり始めると予想されます。
日本では、コミュ力・人脈・社交性といったものが重視されがちですが、これからの時代は、それらよりも専門性、俗に言う“手に職があること”が重要になってきます。ブルーカラーは手に職がつきやすく、待遇も上昇基調にあるため、悪くない選択です。また、ホワイトカラーであれば、いわゆる士業のような専門性の高い資格の取得をお勧めします。いずれにせよ、コミュ力頼りではなく、専門的スキルを磨くと良いでしょう。