現在の仕事についた経緯
父が自宅で整体業をしており、幼い頃から「自宅兼整体院」という環境で間近で健康に携わって育ちました。患者様がつらい表情で来訪し、施術後に笑顔で帰っていく姿を毎日のように目にしているうちに「心からの感謝」をされる仕事に自然と憧れ、整体師を志すようになりました。
その志の傍ら、高校時代にレスリングをスタート。田舎の公立高校ながら強豪校であり、とても恵まれた環境で叩き上げられました。部員の半分以上が日本代表というレベルと、その成績を支える非常に厳しい練習で、自身も鍛え上げられ、その中でもレギュラーメンバーとして活躍し、全国準優勝という成績を残すことができました。
そのような話を聞くと、さぞ運動神経が良いと勘違いされるのですが、大の運動音痴でした。「逆上がりや二重跳びは中学卒業までできない」「マラソン大会は全校でワースト3」などの状態で、慣れないトレーニングでの度重なるケガ、パフォーマンスの伸び悩みを経験しました。その経験を通して、自分のように苦しんだり、悩んだりする選手を支えたいという思いが芽生え、サポート側であるトレーナーの道を志しました。
それと同時に高校時代の同級生と「選手とトレーナーとしてオリンピックを目指そう」と誓い、その約束を果たすためにトレーナーとしての道を歩み、その夢は2021年の東京オリンピックで実現しました。
現在はこれまで培ってきた技術と経験を活かし、次の世代のアスリート達へ「やりたい動きができるようにするための技術」を伝えるために活動しております。
仕事へのこだわり
現在は「世界で活躍できる強い日本人を取り戻す」というテーマのもと、アスリートへのサポートを中心に活動しています。柔道整復師の学生の頃から「自分の競合は医者」という意識を持ち、良い意味で同業を競合とは考えていませんでした。
求められることは医師と同等で、病院では解決できないことに立ち向かう以上、資格の違いを超えた知識と経験が求められると感じ、常に高い専門性の習得を意識してきました。
アスリートたちは日々さまざまな施術やトレーニングを受けていますが、世界を舞台に戦う選手たちに求められる水準はさらに高いものです。私自身もアスリートとしての経験があるからこそ、「自分が受けて本当に納得できたものだけを提供する」という信念を持ち、技術や情報を厳選しています。そのため、妥協した技術提供は一切行わず、自身も常に技術と知識を磨き続けようと決めています。
日々、世界のトップレベルで戦うアスリートたちと向き合う中で、「最高の成果を出せるサポートとは何か」を追求し続けています。もちろん、ワークライフバランスも大切だと考えています。しかし、世界で戦う選手に求められる質を維持したり、より向上させたりするためには、まず自分が高いレベルで成長し続ける必要があります。
そのため、「より高い技術を、より早く習得し、次世代へ伝承する」ことを目標に、情報の精査と技術の研鑽を重ね、試行錯誤をしています。
若者へのメッセージ
世界で活躍するアスリートをサポートする中で、彼らに共通していることが一つあります。それは「圧倒的な量をこなしている」ということです。もちろん、質や効率化にこだわることは大切です。しかし、質は量を積み重ねた先にしか見えてきません。やってみなければ正解も不正解も分からないのです。
トレーニングの世界では、まず「最大値を測ってから計画を立てる」というプロセスがあります。自分が今どこまでできるのかを把握することで、成長するための道筋を考えます。
反対に自分で限界を決めつけて「どうせ無理だろう」と挑戦しないことこそ、成長を止めてしまう最大の要因です。唯一、誰もが絶対に失敗しない方法があるとすれば、それは「挑戦しないこと」です。皆さんは、ぜひ恐れずに挑戦してください。失敗しても構いません。
私自身もオリンピック選手のトレーナーになろうと決意したとき、その方法など何ひとつ分かりませんでした。確かなのは、犯罪をしない限り、失敗しても人生はやり直せるということです。だからこそ、自分の目標に向かって、挑戦することや失敗することを恐れず行動し続けてください。

