リーダーインタビュー
浦田征彦(Yukihiko Urata | MBA)
GLOBALBYTE INC. 代表 浦田征彦(Yukihiko Urata | MBA) https://www.globalbyte.jp/

Profile

佐賀県唐津市生まれ。地元・唐津商業高校を卒業後、山口大学を経て渡米。現地でMBA(経営学修士)を取得し、世界各地の市場を自らの足で歩きながら、多様な国や文化の中で活躍する先人たちから、現場で通用する知恵と実践的な視点を学んだ。
これまで複数の事業を立ち上げ、特にゼロから起業した半導体関連企業では、従業員3名で年商30億円を達成。徹底した効率化と「顧客を主語にする」マインドを軸に、確かな実績を築く。
現在は故郷・佐賀県唐津市に拠点を移し、Globalbyte合同会社の代表として事業コンサルティングや事業投資、人材育成、DX活用による業務効率化、地域創生に取り組んでいる。また、公益財団法人 石井育英会(福岡県福岡市)の事務局長として、九州の大学生が安心して学べる環境づくりにも尽力。2025年には唐津市長選に挑戦し、地元の未来の変革にも挑み続けている。
自らを常に「リスキリングの舞台」に置きながら、次世代を担う人材の育成に力を注ぐ日々を送る57歳。

好きな言葉:Think Different !

「Think Different. 常識を疑い、未来を創る。」これは、今の日本の若い皆さんにぜひ胸に刻んでほしい、大切にしている言葉です。今までの“当たり前”を見直し、新たな視点で未来を切り拓いていってほしいという想いを込めています。

現在の仕事についた経緯

これまで、複数の起業経験を持ち、半導体事業を主軸に、ヘルスプロダクツ、資源・マテリアル、ファッション、ネット通販、エンターテインメント、玩具、企業向けインセンティブ・プログラムなど、多様な事業領域に携わってきました。世界中の市場を自ら訪ね歩き、そこで出会った一流のプロフェッショナルたちから実践の知恵を吸収することを何より大切にしています。

そうした国内外での経験やネットワークを「これからは地元のために活かしたい」と考えるようになったきっかけは、両親の介護と看取りのために帰国したことでした。30年以上離れていた地元・唐津市(佐賀県)は、当時の記憶とはまるで違う、衰退の色濃い風景へと変わっていました。両親を見送ったあと、「自分のこれからを、誰のために、どこで使うのか?」と見つめ直した末、唐津に腰を据えることを決意しました。

現在は、地元に根差しながら中小企業支援を中心に活動し、独自の事業投資にも注力しています。中小企業は地方経済にとって極めて重要な存在でありながら、ビジネスモデルの変革、人材育成、デジタル化の面で大きな課題を抱えています。しかし、それゆえにこの分野が底上げされることで、地域の再生はもちろん、日本全体の生産性向上やマクロ経済の改善にもつながると確信しています。だからこそ今、「国内外との繋がりを増やし、地域全体のレベルを引き上げる」存在でありたいと考えています。

仕事へのこだわり

常に意識しているのは、「主語をお客様に置く」という姿勢です。ここでいう「お客様」とは、顧客だけでなく、従業員、パートナー、地域の人々すべてを指します。常に相手の立場から物事を考え、真に必要とされる価値を届けることを、ビジネスの核に据えています。

更に無駄を省き、シンプルで実行可能な仕組みを構築することも大切にしています。考えるだけではなく、動きながら改善を続け、挑戦し続けること。その積み重ねの先にこそ、確かな成果があると現場主義を大切にしています。

そして、何よりも重視しているのが、「継続すること」を理解する経営者となることです。継続は、簡単なようでいて非常に難しいです。何度も諦めそうになった経験もありますが、「あと一歩踏ん張った先にこそ、成功や変化がある」と自らの体験から強く実感しています。続けることでしか見えない景色があるからこそ、粘り強さと覚悟を持って仕事に臨んでいます。

さらに、「好きなこと」だけを基準に仕事を選ぶのではなく、「誰かの役に立つこと」「社会を少しでも良くすること」に関わっているかを常に問い続けています。それがやりがいや楽しさを生み、継続する力の源にもなることを伝えています。「好き」だけでは続きません。しかし、「誰かのため」と感じられることで、人は驚くほどの力を発揮できる。そう信じています。

若者へのメッセージ

人は環境に大きく影響されます。これまでの経験から、私はこのことを強く実感しています。特に地方においては、日常の中で出会える大人や価値観が限られてしまうことが多いです。だからこそ、より多くの若い人たちが「外の世界」とつながり、一流の価値観や多様な考え方に触れる機会を持ってほしいと願っております。

特に中高生の時期に、本物の人や視点に出会える環境を整えることが、その人の未来にとってかけがえのない「基準」や「志」となることが多いと感じています。これは、公益財団での大学生との関わりの中でも日々実感していることです。実際に、大学生になってから初めて外の世界や多様な価値観に触れるケースも多く、「もっと早くこういう出会いがあれば…」という声を耳にするたびに、若い世代の成長における出会いの重要性を強く感じています。

一流とは、特別な誰かだけを指すものではありません。広い視野を持ち、誰かのために行動する覚悟を持った人こそが「一流」だと私は考えます。正直、自分自身が一流だとは思いませんが、そうした一流の人々と出会える接点役になれる存在でありたいと常に考えております。

また、「好きなことを仕事に」とよく言われますが、そこに「誰かの役に立つ」という視点が加わると、好きなことはもっと深く、長く続けられるようになります。やりがいも、楽しさも、そうした「誰かのために」という実感から自然と生まれてくるものです。

そして何より伝えたいのは、「失敗の数だけ、学びがある」ということかもしれません。私自身、これまでに数えきれないほど多くの失敗を経験してきました。けれども、その一つひとつが、今の自分を形づくる大切な糧になっていると感じています。だからこそ、若い皆さんには失敗を恐れず、そして「楽しみながら前に進んでほしい」と心から願っています。

出会いと環境には、未来を変える大きな力があります。そうした環境づくりに関わることこそが、今の私の使命だと感じています。そして私は今、その思いを胸に、自分のふるさとで新たな礎を築こうと、日々チャレンジを続けています。