現在の仕事についた経緯
証券会社時代、富裕層のお客様に深く関わる中で、組織都合の担当者変更や商品戦略を続けていては、お客様にご満足いただけないということに確信を持ちました。本当に長く寄り添い続け、人生にわたって信頼される資産アドバイザーになるには、お客様に対する誠実な行動が組織の成長につながる、正しい事業性を自ら構築する必要があると考えました。
そこで独立系IFAという道を選び、会社を設立しました。不動産や相続対策まで含めたワンストップの資産管理体制を整え、真に顧客本位のサービスを追求しています。
仕事へのこだわり
仕事をするうえで、私が最も大切にしているのはお客様に対して「誠実である」ことです。私は証券会社出身であり、営業成績を上げたい者が、お客様を説得するシーンや、過大なセールストークとなっているケースをよく見てきました。そのようなケースでは、短期的な営業成果が上がることはありますが、長期的な時間軸ではお客様と信頼関係を築くことが難しく、その成果は持続していませんでした。
そこで私は、お客様にはどのような商品・サービスが必要なのかを分析し、徹底的に情報開示することで、お客様にとっての透明性の確保に努めました。すると、お客様と不要な駆け引きがなくなったことでお預けいただける運用資産が拡大し、それに比例して大きな成果を上げることができるようになりました。そして副次的な効果として、お客様から信頼をいただく中で、ご相談内容の幅が広がっていきました。
本来の私は資産運用が専門分野であるにもかかわらず、経営者や富裕層のお客様からは、不動産、相続、家族の将来、経営する事業についてなど、様々なご相談をいただきます。そうした方々の「最初の相談相手」として選ばれるには、専門性の深さに加えて、多領域を横断する知見と鋭い洞察力が欠かせません。ゼネラリストというスタンスがお客様に伝わり認識されると、自分の専門外のご相談も自然と寄せられるようになります。そうして1つ1つの案件に真摯に向き合っていくうちに、いつの間にか幅広い知見と経験が蓄積され、それがまた一段深い信頼につながっていく、この循環を強く実感しています。
こうした経験を通じて思うに、私はビジネスマンとして大きな成果を求めるのであれば、尚更誠実さを追求するべきであり、そのような行動はお客様と共に成功へ向かう真っ直ぐな道であると信じています。
若者へのメッセージ
若いうちから、自分なりの確固とした価値観や判断軸を持とうと意識することは、とても重要だと思います。
今は、インターネットで検索すればあらゆる情報にすぐアクセスでき、AIに尋ねれば即座に答えが返ってくる時代です。技術はこれからも進化し、「いかに速く正解にたどり着くか」が重視される流れは今後も続くでしょう。
しかし、実社会や人生において私たちが直面する課題は、これという正解のないものばかりです。そうした不確実な課題に向き合うためには、物事を理解し、自分なりに仮説を立て、判断を下すための“軸”が必要となります。
すべての現象には原因があり、過程があって、結果があります。「なぜ、そうなったのか」という問いを重ねていくことで、事象の本質が見えてきます。そうした本質を見抜く力は、どのような局面においても活躍できる、汎用性の高い武器になります。
ぜひ、日常のあらゆる物事に「なぜ」を投げかける習慣を持ってみてください。たとえばいまこの文章を読んで心に浮かんだ感想に対して、「自分はなぜそう感じたのか」と掘り下げる。そうした問いかけの積み重ねが本質を見抜く鍛錬となり、表面的ではない深みのある個性を生み出し、どのような時代でも重宝される人材になれるのではないでしょうか。