リーダーインタビュー
小池陸
カボシア株式会社 代表取締役 小池陸 https://cabocia.jp/

Profile

新卒で株式会社パソナグループに入社するも、コロナ禍での業界変化を機に退職し、自己探求の旅に出る。
旅先でウェブ制作を独学し、ECサイト構築及び運用サポートで独立。
その後法人化し、30社以上の新規ECサイト構築と100社以上の改善・リニューアルに携わる。
経営する株式会社Create Withは、2025年に岡山を代表する企業100社に選出。
豊富な開発実績とビジネスサイドの知見を活かし、2025年6月に中都氏と共同でカボシア株式会社を設立。
法人向けAIサービス「ホウジンAI」の開発と普及を通じて、中小企業のデータ活用とAI導入支援に取り組む。

現在の仕事についた経緯

あるクライアントから「AIを本格的に社内の意思決定支援に使いたい」という要望を受けたことがきっかけです。

EC事業者と関わる中で、事業者におけるデータ活用の必要性を強く感じていました。
そこで直面したのは、「そもそもデータが計測されていない」「データに対する心理的抵抗がある」「分析や解釈には高度なリテラシーが必要になる」といった現場に存在する多くのハードルでした。
私自身、もともとデータアレルギーに近い感覚を持っていたこともあり、その難しさを実感し、理解できました。

冒頭の要望と合わせ、単なるデータ集計ツールではなく、データ統合基盤と社内AIシステムにより、組織の意思決定そのものを支援する仕組みを作ることを事業構想として思いつき、現会社の創業に至りました。

仕事へのこだわり

私の仕事に対するスタイルは、「人間関係を最優先にする」ことから始まります。
新卒で入社した会社で、コロナ禍によりイメージしていたキャリアとは全く違う仕事や環境を経験しました。その中で長い間向き合ってこなかった自分自身と正面から向き合うことになり、このまま会社でキャリアを積むことに違和感を覚えるようになったのです。

そこで会社を辞めて旅に出ることにしました。それは「自分と向き合うため」でもありましたが、同時に「自分が時間を過ごしたい人との時間を大切にしたい」「会いたい人に、会いたいと思った時に会えるようになりたい」という思いからでもありました。現在の基盤となるエンジニアスキルは、実はその旅の途中で身につけたものです。

この経験を通して確立したのが、「プライベートでも食事に行きたいと思える人と仕事をする」という基準です。直感的に関わりたくない人や案件は避けて、仕事にも私自身にも価値を感じてくれるクライアントさんとの長期的な関係性を大切にしてきました。おかげで、最初の頃からお世話になっているクライアントさんとは今でも継続的にお付き合いいただいています。

技術面では、単なる制作作業ではなく、クライアントのビジネス課題の本質を理解することにこだわってきました。ECサイト構築でも、見た目のデザインや機能だけでなく、その企業の事業戦略や顧客との関係性まで考慮した提案を心がけています。

現在のカボシア設立も、これらの価値観の延長線上にあります。AI普及後の世界で生まれる余白を、人とのつながりにもっと使っていけば良いのではと考えています。技術は手段であって、最終的には人間同士のより深い関係性や価値創造に注力できる社会を目指しています。

若者へのメッセージ

まず、「なんとなく」から始めることを恐れないでください。私も最初の会社に入った際は特別な理由があったわけではありませんでした。でも、その「なんとなく」の経験が、後の自分を形作る重要な要素になりました。

大切なのは、違和感を感じた時に素直にそれと向き合うことです。私は組織への所属に無意識の依存を感じた時、それから逃げずに「自分と向き合う時間」を作りました。周りからは無謀に見えたかもしれませんが、旅をしながら独学で技術を身につけ、それが今の事業につながっています。

「好きな人と好きな時に会える状態」を目指してほしいです。これは単なる自由ではなく、人間関係の質を重視するということです。仕事相手も人生のパートナーも、本当に価値を共有できる人を選ぶ。そのためには、まず自分が何を大切にしているかを知ることが必要です。

技術やスキルは後からついてきます。私もwebのスキルは遊び程度で触っていただけでしたが、必要に迫られて本格的に学びました。重要なのは学ぶ姿勢と、なぜそれを学ぶのかという動機です。

最後に、AI時代だからこそ人とのつながりが重要になります。効率化で生まれた時間を、より本質的な価値創造や人間関係の深化に使える。そんな未来で、ぜひ一緒にお話しできたら嬉しいです。