リーダーインタビュー
清水博
日本生命保険相互会社 代表取締役社長社長執行役員 清水博 https://www.nissay.co.jp/

Profile

徳島県出身。1961年生まれ。1983年、京都大学理学部卒業後、日本生命保険相互会社に入社。商品開発部長などを経て、2009年に執行役員総合企画部長、2013年に取締役常務執行役員、2016年に取締役専務執行役員(資産運用部門統括、財務企画部担当)を歴任。2018年4月から現職。

受け継がれる想い、そして変革へ

私はトップとして全社員に対するメッセージを統一しており、「人は力、人が全て」と常に伝えています。当社は人で成り立っている企業。全社員が一人ひとり、日々役割を全うしています。組織としてチームワークを重視し、仲間と支え合うカルチャーが浸透しているのです。創業から135年間、ずっとそのようなカルチャーに基づいて前へ進んできたのだと思います。振り返れば、2、3代前のトップも同じメッセージを発信していました。私はその想いを受け継ぎ、ただ代弁しているのです。

代表取締役社長就任が決まった際、実際のトップや経験者の方々から「上に立たなければ見えない景色がある」と言われました。正直、当時は素直に信じることができず、少々疑っていました。ところが実際就任してみると、先達の言葉の意味を度々痛感することがあるのです。他のトップの方々を見ていると、現状の課題に対して戦略を考え、方向性を示す役割を全うしています。私も感化され、自然にそのような視点がインプットされていくと、社内やグループ会社の課題が見えてくるのです。例えば、当社は135年と続く伝統的な企業のため、変革は苦手な領域です。そのため、私は変革を常に意識した運営をずっと心がけてきました。私の就任から7年経ち、ようやく変革に向けたカルチャーが根付きはじめたと感じています。伝統と変革の融合ができる企業になれば、当社はもっと成長していけると思うのです。

「もし自分なら」の思考を習慣化

私が社会人になったばかりの頃、当社では入社1年目から4年ほどまでは全員寮で過ごすことになっていました。そのため、他の社員たちと親密な仲になるのです。加えて、毎日ずっと同じ職場の同じ席に座っているのが苦痛だったため、私はたびたび「散歩」という名目で別の部署を訪れていました。色々な人に「今何しているの?」と質問していくと、知識が自然と増えていきました。やがて、「自分だったらこう考えるだろうな」とさまざまなケースに自分を当てはめ、仮定する思考が身についていきました。そのような習慣が身についてから5年、10年、20年と経った今では、自分が思った以上に事業への理解が深められたと感じます。今振り返ってみると、自分の担当以外の仕事についても興味を持ち、知ることは有益だと感じます。一方で、知るだけでは不十分。理解したうえで「自分だったらこうする」という思考が必要です。さらにその思考を積み重ねて習慣にすることで、必ず何かが身につくとお伝えしたいです。