現在の仕事についた経緯
私が高校生の頃、親族が亡くなった時に「どうして自分は何もできないのだろう…」と歯がゆい思いをしました。医療に漠然とした興味を持っていたこともあり、これを機に医学部を目指す決意をしました。「なんでも対応できる医師になりたい」という思いから、救急科の道を選択しました。
開業医に至った経緯としては、30代後半に差し掛かり、自分が今後どんな人生を送りたいか考えた結果、開業することが、自分の手の届く範囲の患者さん、家族、知人、同僚にとってより長く貢献できる形だと判断して決意しました。
仕事へのこだわり
「なんでも対応できる医師になりたい」
ここが基本なので、初期研修において多くの患者さんに対応できる病院を選択しました。そのため、研修医でも当直では子どもから高齢の方までの初期対応を経験できました。
救急医としての勤務医時代も変わらず忙しい毎日でしたが、初期研修医の時とは違って、主治医として管理をしたり、リーダーとしてドクターカーで現場活動をしたり、自分が責任を負うことが多くなりました。その分、やりがいもあり、厳しいことも経験しましたが、「時間との勝負」や「決断すること」の重要性を学ばせていただきました。
知識も見聞も広めるために、先輩医師の勧めもあって県外での研修をしようと思い、集中治療医としての勤務を横浜市内の病院で送りました。ここでは、より複雑な病態の患者さんも増えましたが、「患者さんを全身で捉えること」や「根拠を持って対応すること」を学ばせていただきました。人口の違いもあって忙しさは更に増し、同僚の先生方の意識の高さ、知識の幅広さに驚かされるばかりでしたが、すごく刺激になりました。
同時期に外勤として複数の中核病院勤務も経験していますが、病院に求められている機能によっても考え方やスタンスが違っていたこともあり、体制を含めて地域の課題を実感できました。
この頃からプレーヤーでありつつも、後輩の育成などのマネジメント側に入ることも増え、似たようなスタンスの医師が増えたらいいなと思い、ここまでの経験で得たものを伝えるようにしてきました。
開業後も「より幅広く、より身近に」をモットーに、幅広くどんな症状でも診療できる、身近なかかりつけ医として、地域に貢献したいと考えています。
若者へのメッセージ
私自身まだなにか結果を残しているわけではないので大それたことは言えませんが、2つだけアドバイスさせていただければと思います。
1つ目は、過去の出来事そのものを変えることはできなくとも、これからの自分次第で、“その出来事があってこそ!”に変えることはできるということです。
これまで「あー、こうしておけばよかった」「こんな失敗がなければ」と思った出来事は数えきれません。でも、そのおかげで今の私、家族がいる。これってすごい奇跡だと思いませんか?
これからいろんな経験をするチャンスがあるみなさんにも、過去に捉われずに、その経験をどう活かすか、そのために何ができるか、と“これから”に目を向けてもらえたらと思います。
2つ目は、若い時にたくさんの経験ができる環境に身を置くことです。
目標が決まっていても決まっていなくても、若い時の経験が多いほど、その後の自分を助けてくれます。研修医の頃はしんどいと感じることも多かったですが、当時の自分だったからこそあの忙しさを乗り越えられたと実感します。
そういう忙しい環境に自分を置くことが必要です。環境が人を変えるとはよく言いますが、自分のこれまでを振り返っても、その通りだと思います。