リーダーインタビュー
五十嵐勇
物語運輸株式会社 代表取締役社長 五十嵐勇 https://monoun.jp/

Profile

サイバーエージェント、メルカリ、バイドゥでの経験を経て、リクルート在籍時に物語運輸株式会社を創業。
サブスクリプション事業やショップサービス事業の立ち上げ、ソフトウェア事業の推進など、多岐にわたる業務を通じて培った豊富な知見を活かし、幅広く活動。
全国各地のレストラン巡りと陶磁器の収集をライフワークとし、社会課題に取り組む決意を固める。

現在の仕事についた経緯

大学卒業後はプロダクトマネージャーとして、アプリ開発や新規事業の立ち上げに携わってきました。主に海外市場を相手にしたプロダクト開発に注力していましたが、GAFAをはじめとするグローバル企業との競争は想像以上に厳しく、さらに中国企業での経験を通じて海外市場との大きな壁を痛感しました。そんな中、日本固有の資産を活かすことこそが、世界で勝ち抜くための最善策だと考えるようになりました。

そこで目を向けたのが、日本における最後のフロンティアともいえる「ものづくり」「観光業」「食産業」の3分野。特に地方創生は自らの人生のテーマでもあり、それらを統合しつつ、デジタルを通じて新たな価値基準を創り上げることを目指して起業に踏み切りました。
実は10代、20代の頃から伝統工芸品、とりわけ器のコレクションを続けており、職人との交流を大切にしていました。その個人的な興味・関心が、まさに現在の事業の礎となっています。

仕事へのこだわり

社会人としてスタートした時から大切にしてきたのは、「伸びしろのある環境」を選び、常に成長市場の最前線に身を置くことでした。成長が見込まれる分野ほど、事業課題は複雑かつスピード感を伴うため、そこで得られる経験と学びは圧倒的に大きいです。
実際、新人時代にあえて社長直下のプロジェクトに志願したことで、経営の意思決定プロセスを間近で学ぶ機会を得ることができました。多くの困難に直面しましたが、経営者の視点や思考を吸収し、自分自身の判断軸を確立できたことは、今の自分を支える大きな財産になりました。

この「成長市場×社長直下」で働くスタイルを継続した結果、急激な変化に柔軟に対応する力や、スピード感をもって事業を推進する力が身についたと実感しています。未知の領域でも「まずは飛び込んで学ぶ」姿勢を徹底し、そのために必要な情報収集やネットワークの構築を怠らない──こうした積み重ねこそが、自分の仕事観の根幹となっています。

さらに、自分が本当に「ワクワク」し、「価値を感じる」テーマを選ぶことも重要視してきました。熱量をもって打ち込める領域であれば、困難に直面しても前向きに乗り越えられるからです。実際、私は日本の伝統工芸という領域を選び、デジタル技術を通じて価値を広げるというチャレンジに邁進していますが、それは「自らが心から面白いと思えるからこそ」持続的に挑戦を続けられているのだと実感しています。今後もこのスタンスを貫き、新たな価値創造に果敢に挑んでいきたいと考えています。

若者へのメッセージ

若いうちは失敗も含め、あらゆる経験が大きな糧になります。もし壁にぶつかったときは、「これは自分が成長するためのサインだ」と捉え、これまでのやり方を変えるチャンスだと考えてください。何事もまずは試してみる行動力こそが、将来の選択肢を大きく広げる鍵になります。

自分が本当にワクワクする分野を見つけたら、決して妥協せずにとことん追求し、周囲をどんどん巻き込んでいきましょう。仲間がいれば、一人きりでは乗り越えられない困難も不思議と乗り越えられるようになります。たとえ目の前に厳しい現実があっても、情熱を失わずに走り続ければ必ず道は開けるはずです。

そして、自ら選んだ道に自信を持つためには、成功体験だけでなく失敗から学んだ知見も大切になります。失敗は自分だけが得られる“オリジナルの武器”となり、将来において大きな強みとなってくれます。
何より大切なのは、常に学びを止めず、変化を恐れない柔軟な姿勢です。明確な目標を描き、ぶれずに前進し続ければ、新たな景色が必ず見えてきます。ぜひ、自分の“好き”や“情熱”を信じ、一歩を踏み出してみてください。