会社を起業された経緯
ZACを設立したきっかけは、母親の闘病生活と、患者の息子という立場から医療業界のコミュニケーションのあり方に疑問を感じたことでした。
母が末期の癌を患ったとき、私はそのつらい状況を目の当たりにし、医師の一言が患者の体調や精神に与える影響が非常に大きいことを実感しました。それだけに、息子としてつい「もっと丁寧なコミュニケーションをとって欲しい」と求めてしまうところもありました。ですが、先生方は本当に多忙で患者一人ひとりにそこまでの丁寧なコミュニケーションを求めるというのは非常に難しいというのも現実でした。今にして思えば、その中で本当に一生懸命に向き合ってくださったと思います。
当時、先生方の母親に対するコミュニケーションに対しつい憤りを感じてしまうこともありましたが、それよりもそうした医療現場の厳しい現実を目の当たりにして、医療業界の労働環境や教育制度を改善する必要性を強く感じたことをよく覚えています。それが、私がZACを立ち上げるきっかけとなったのです。
医療業界における「組織人事コンサルティング」という分野は、当時ほとんど市場が存在せず、サービスの意義を理解していただくのに非常に多くの時間と労力がかかりました。しかし、2002年に狭いマンションの一室から始まったZACは、今では全国の病院や介護施設からお声がかかる、医療・介護業界に特化した組織人事コンサルティング会社へと成長しました。
現在の業界の課題、そこに対しての想い
医療・介護業界は今後、私たちがこれまで経験したことのない困難な時代を迎えることになります。医師の働き方改革、医療介護従事者の不足、物価の上昇、社会保障費の抑制といった問題が複雑に絡み合い、業界全体が大きな転換期を迎えています。
これまで培った経験を基に、私は業界の中で一人ひとりのスペシャリストが最大限にその専門性を活かし、心身ともに健康な状態で安心・安全な医療・介護サービスを提供できる環境作りを支援しています。これが、私にとって母への最大の親孝行であり、私たちの未来にとって必要不可欠な取り組みであると信じています。
私たちの目指すべき方向性は、今後の医療・介護業界の指針となり、高齢社会を迎える日本、そして世界における重要なモデルとなることでしょう。そのためには、業界内での連携と共に、医療従事者一人ひとりの熱意と善意に頼らない体制と仕組みの構築が求められていくと考えています。
今後の展望
医療・介護業界の未来に対して私は、より良い環境作りを進めることに尽力したいと思っています。今後、私たちが直面する課題を乗り越えるためには、業界における人材育成が不可欠です。現在、ZACではそのために力を注いでおり、これからのサービス拡大を目指してさらなる成長を遂げようとしています。
私たちが取り組んでいるのは、病院や介護施設の職場環境の改善だけでなく、そこで働く従業員の心のケア、さらにはそれぞれの専門性を発揮できる環境をつくることです。
人材不足が叫ばれる中、世界中の病院や介護施設で、従業員が安心して働けるような環境作りを支援していくことが、私たちの最大の使命です。ZACのスタッフと共に、業界に新しい風を吹かせ、医療・介護従事者の希望と安心を生み出していきたいと思っています。
若者へのメッセージ
若者たちには、ぜひ本気で自分らしさを追求してほしいと思っています。自分の価値を最大限に発揮するためには、他の世界と深く関わり、多くを学び、経験することが必要です。その中で、自分が本当に何をしたいのか、どんな人間でありたいのかを見つけ出すことが大切だと思います。
自分らしくいるためには、時には「自分らしくない」と思えることに挑戦してみることも大切です。今見えている自分らしさに固執せず、まだ見ぬ自分らしさを見出していくことが皆さんの可能性を無限に広げていきます。
生きていると何もかも面倒になることや、すべてを投げ出したい気持ちになることもあると思いますが、困難な状況に直面したときこそ、本物のあなたらしさが発見できるチャンスです。困難をゲームのように捉えて楽しむ、その姿勢こそが未来を切り開く力だと確信しています。